2009年12月24日

人生は旅である・・・

「人生とは旅であり、旅とは人生である。」元サッカーワールドカップ代表の中田英寿選手が選手引退の日にウェブに衝撃的なメッセージを寄せました。まだ30前後の年齢である。美空ひばりの歌にも「生きることは、旅すること・・・」とあります。また、メジャーリーガーのイチロー選手は、子供の時から、将来のキャリアデザインを考えていたようです。「一流のプロ野球選手になる。そのためには、中学、高校ともに全国大会に出場する。そのためには、練習、練習、練習である。」他人の人生は、ほっといてくれと言われるかもしれないが、「何のために生きるのか」を意識することは非常に重要であります。なぜなら、人生の目的を意識する人と意識しない人の差は後悔の多寡に相当すると考えられるからです。

 数年前から、主に企業の技術者を対象に、キャリアカウンセリングを実施してきました。また、自分の属している会社外の研究者やエンジニアも含めて、高度エンジニアを目指す人たちの相談にのり、彼らの成長を支援するメンターとしての役割も果たしてきたつもりです。それらの中で、研究開発部門のリストラクチャリングも珍しくありません。いままで担当してきた研究開発テーマを止めて新しいテーマを探さなければならないとか、チームで各々の専門を分担して仕事をしてきたため、自分の強みがみつからなず、今後何を選択していったらよいかわからないというような多くの相談を受けます。

 それらをきっかけに、私のいままでの人材開発での仮説検証をもとにした想いを実現するため、新しいコンセプトの「新社会人や若手のためのキャリアデザイン」講座を開講しました。これは、何のために働くのかなど、自身のキャリアデザインを未来から俯瞰し明確化させることで、何を学び、それをどう活かすかを考え、自律的に思考・行動できる人材を倍増することを目的としたものです。いわば、教育のあるべき姿を狙った講座と考えました。これにより、多くの人生の課題に対するヒントをいただきました。

 業界再編やリストラにより、企業の考えるキャリアパスは夢物語となってきたようです。キャリアデザインをイメージしておかないと環境変化に対応できないのです。何も、勝間和代さんの生き方を実践せよと言っているのでもありません。むしろ、香山リカさんの「頑張り過ぎない生き方」の方に近いかもしれません。30代に、人生全体から俯瞰して、何のために働くのかを考え直すのです。自身のキャリアデザインをより明確化させることで、何を学び、それをどう活かすかの判断力を養い、自律的に思考・行動できるようになって欲しいのです。視野を広げるために、先輩の助言に耳を傾け、悔いのない、目的をもった人生、働き方、仕事を考えていただきたいのです。


<スピード発想術書籍URL>
 http://gihyo.jp/book/2010/978-4-7741-4106-0
<プロエンジニア教育研究所URL>
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2009年12月22日

TRIZを身近にする「SEのスピード発想術」

 時空を超えた旅に出ませんか。経済環境が厳しい時期、エンジニアのみなさんにとって、発想の転換が求められています。デフレでコスト勝負のレッドオーシャン戦略に陥っていませんか。さあ、土俵を変えて、ブルーオーシャンに漕ぎ出しましょう。創造性開発手法TRIZ(トゥリーズ)を多くの場面で試してみていただきたいと思います。「SEのスピード発想術(技術評論社:1480円+税)」発刊です。TRIZ初心者にもわかりやすく、玄人にも気づきを与えるがコンセプトです。価格面でも、専門書からビジネス書レベルまでにみなさまの負担を下げました。これにより、TRIZが、専門領域を問わず、更に多くの人に役立つことを願っています。

 もし、みなさんが困りに困ったときにどうしますか。そうです。何かよい方法はないかとアイデア出しをします。そういうとき、創造性開発手法TRIZ(トゥリーズ)でアイデア出しすると、予想以上のレベルの解決策を、スピーディに見つけられるはずです。今回、SEのための40の発明原理を、図解ヒント集として提案します。この中には、ソフトウェアだけでなくハードウェアビジネス・日常生活領域まで、アイデアのヒントをたくさん用意しました。コンサルティング経験から判断すると、日常の課題は、これだけでほとんど解決できると思います。

 ところで、日本の研究・技術者総数は、平成17国勢調査から予測すると、総人口の約2%だそうです。つまり、約300万人になります。その内訳は、ハードウェア技術者90万人(電気:40万人、機械:30万人、バイオ他:20万人)。ソフトウェア技術者90万人(SE:40万人)。土木・建築技術者80万人、研究者20万人、その他技術者20万人。この中で、特に、慢性的人材不足のソフトウェア技術者の知的生産性を革新したいと考えました。

 SEの現場では今、スピーディな課題解決スキルが求められています。そのとき、大きな武器となるのが体系的発想法です。まずは、目的展開やなぜなぜ展開によって、真の目的や根本原因を明確にしましょう。そして、40の発明原理、9画面法、究極の理想解などからなる創造性開発手法「TRIZ」(トゥリーズ)を活用し、ブレークスルーできるアイデアをスピーディに生み出しませんか。時空を超えた解決策が待っています。

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2008年04月15日

人間の能力の論理的能力と創造力をうまく使うには

 人間の知的能力には、二面性があるとされています。一つ目はものごとを判断する論理的能力、二つ目は新しいアイデアを生み出す創造力です。言い換えれば、左脳と右脳の特性そのものになると思います。私の経験則から導き出した仮説を若干誇張して述べてみます。例えば、15歳から65歳まで主な知的活動を行うと仮定しますと、論理的能力は15歳で0であるが、65歳では100になります。いっぽう、創造力は逆で、15歳で100、65歳で0になります。両者の交点は40歳で、もしこの両者のバランスが重要と考えますと40歳前後で大きな仕事ができることになります。

 私の例で言えば、一番創造性の高い仕事をしたのは32歳の時でした。また、技術的業務で会社の利益に大きな貢献ができたのが38歳の時でした。ちなみ、中村修二氏の青色ダイオードは35歳の時、ノーベル賞のエサキダイオードは32歳の時、そして、田中耕一氏のノーベル賞受賞特許は28歳の時の仕事となっています。創造的仕事は30歳前後、マネージメントも含めた利益創出の確率の高い年齢が40歳ということでしょう。かなり、うなづけるところもあるのではないでしょうか。

 市場のデジタル化、技術の複雑化、地球環境や雇用環境の激変などにより、エンジニアといえども安閑としていられなくなってしまいました。今後は、技術の専門性だけでなく、「ビジネス性」と「知恵」のターボエンジンを装備していなければ生き残れなくなっているようです。その具体例が大学院ではないでしょうか。一部の最先端研究分野を除き、数年余分に、教授のアシスタントとして専門技術を学んできましたというだけでは、企業にとっては魅力なしです。

 企業や社会で必要な能力というのは、ある特定分野の専門知識ではないのです。たまたま旬の研究テーマの場合には例外ですが。今後、10年、20年にわたり利益創出の源泉となっていただかなければならないからです。「ビジネス性」と「知恵」は、MBA的な知識を学べば身に付くかといえばそうでもないと思います。現場のハードルの高い課題にチャレンジして、ブレークスルーしてこそ真に身に付くのだと思います。そこに使う合理的なツールとして「マーケティング」や「TRIZ」があるわけです。努々使い方を間違えないことです。


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2008年04月14日

面接の極意は存在するのか

 大学4年生や修士2年目の学生は、就職活動で忙しい毎日だと思います。しかし、多くの学生は内定をもらえず四苦八苦しているのではないでしょうか。ある新聞の調査によると、4月末7時点の就職内定率は、なんともう27%にも達しているそうです。学生の売り手市場には変わりないようです。しかし、企業が欲しい人材は、これから見つけられる確率が低いのではないでしょうか。なぜなら、企業側も学生側も相思相愛のケースですので、判断が容易だからです。これからが、磨けば光る原石を見つけられる正念場なのでしょう。

 内定を獲得できる人は、同じ人が一人で何社も内定されているのではないでしょうか。そのような背景も加味すると、まだ80%の学生はこれからが勝負なのです。本当に実力をもちながら、自分の良さを売り込めないで、不合格を繰り返す人も多いと思います。それを打破するためには、自分の強みと弱みを第三者のキャリアカウンセラーに診断してみてもらうことを薦めます。そこから自分のマーケティングドメイン(存在理由)を紙に書き出すことです。

 ところで、俳優の奥田英二さんが、あるインタビューで、面接の極意と呼ばれるスキルを話していました。無名のころ、俳優のオーディジョンなどの面接で、試験管の話を良く聴き、質問に答えながらじっと試験管の目と目の間を凝視していることに神経を集中していたそうです。それも、数回、そのスキルを使い、みごとその難関試験に合格したそうです。要するに、相手の目を見て、よく傾聴することがよい話に繋がっている極意(スキル)なのです。
 
 面接のスキルだけをいくら磨いても、それだけで就職試験で内定を獲得できるかどうかは疑問です。ただ、どんぐりの背くらべのレベルにあるときには有効ぐらいに考えておいてください。やはり、中身が最重要なのです。その基準も環境変化の激しい時代には、はっきりいえることがあります。それは、知識の多寡ではないということです。最重要な要素の一つ目が、できそうもないことにも果敢に挑戦する姿勢です。二つ目が、その挑戦の仕方で、サッカーのオシム前監督が言われていた「走りながら実行できるか」ということです。ただし、うつ病とその予備軍を大勢抱える企業にとって、コミュニケーション能力や打たれ強さ(ストレス耐性)は前提条件となります。


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2008年04月11日

GoogleとTRIZで世界規模の技術力を予測してみると

 Googleには、Google EarthとGoogle Trendsというすばらしいツールがあります。Google Earthによれば、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国のみならず、北朝鮮など秘密国家のすみずみまで、航空写真で俯瞰できます。地球上の物理的変化が見えてしまいます。Google Trendsというツールは、検索のアクセスボリュームを使って、全世界でそのキーワードがどうなっているのか傾向を分析できます。このブログのキーワードに使っている「TRIZ」でその傾向を再度分析してみます。この結果は、マーケティングの市場分析の代替特性として評価したり、戦略の市場動向調査データに活用できます。ただし、ロシア語圏だけは例外要因もあると考えています。

1年前にも、Google Trendsというツールを使いTRIZの関心の高さや普及状況の動向を調べて報告しましたが、約1年経つと情勢の変化が現れました。2006年後半から全世界のTRIZへの関心が低下していることは、1年前の傾向と変化がありません。イラン、韓国、台湾およびベトナムでは相変わらず活発な様子が見受けられます。日本での関心は、全世界のトレンドに近く減少傾向と判断できます。そんな中、インド、ブラジル、タイでの関心の高さが上昇しsているようです。

 これを裏付けるデータとして、いくつかあげられます。例えば、Googleのデータ数の推移やTRIZCON、ETRIAなどのカンファレンスの参加者や報告内容などです。 TRIZCONは、アメリカの TRIZ 研究者らによって設立されたアルトシュラー・インスチチュートが年に一度開催する大会で、1999 年に第一回が開催され今年で10年目を迎えます。これらの発表者数、参加者数、参加国などのトレンドです。実際に、これらのデータとも傾向は近似していると思われます。

 私は、従来の方法でのTRIZの普及の曲がり角になっていると考えております。TRIZという世界最強の課題解決ツールを使わないのは損失が大きい。それをどうしたらよいのかブレークスルーしようと、お金のあまりかからない方法でやさしく教えるなどいくつかの施策を試行錯誤しています。多くのユーザーアンケートや書籍の普及状況などから、原因として考えられることは、ツールにお金がかかってきたこと、ツールの中に多くのサブツールが存在し難解であると言われていること、欧米での関心が激減してきたことなどがあげられます。韓国、インド、ベトナムなど資源が少なく人づくり(教育)に重点を置いている国の技術力向上がブレークスルーの突破口になればよいと思っています。


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2008年04月10日

目指すは環境と健康と食料自給率

 中国産の毒餃子問題が、日本の食糧自給率が30%台の低さをクローズアップさせてくれています。都市化、工業化の波は人間本来の営みをも否定してしまっているように思えます。また、団塊の世代が定年の年齢にさしかかり、高齢化も止められません。それに伴い、医療費や被介護者も年々増加傾向にあります。そろそろ、TRIZのSカーブ分析でいう「成長期」、「成熟期」の価値観から脱皮した考え方をする必要になってきたと思います。「成熟期」から「衰退期」になってきているわけです。

 セオリー通りだと、「衰退期」になるとコスト競争に陥り、企業も従業員も努力しても疲弊するばかりとなります。そこで、従来とは違った視点でビジネスも考えなければいけなくなってきています。そのブレークスルーのヒントとなるキーワードが、「環境」、「健康」、「食料自給率」になるわけです。食料自給率を上げるために地方の農業を活性化させるのです。地産地消を推進すると、中国から食料を輸入削減できて、CO2削減にも貢献できるはずです。団塊の世代の余った労働力を、農業や介護へんと転換させていく。自然と接する機会が増加し健康へとつながる。自然の摂理にも適応できてしまうわけです。

 ちょうど、ガソリンの暫定税率期限切れに伴い、ガソリンの価格が下がるとCO2を増大させるため、高いままの方がよいとの意見もあります。これは目先の論理で、ではなぜ道路に予算を重点配分するのか、論理的に矛盾してしまいます。ガソリン税で、環境対策として、太陽電池、風力発電、燃料電池、農業奨励などに予算配分するのであれば、納得できるのではないでしょうか。やはり、「何のためにやるのか」と真の目的を問い直す時期にきていると思います。

 日本も内需拡大策として、「環境」、「健康」、「食料自給率」に予算の重点配分を転換し、ノウハウを身につける時期にきています。今後の新規事業のテーマとして、社会貢献できるテーマに投資して、競争力をつけましょう。その蓄積できたノウハウを外国に展開すればよいわけです。コストの安い国でものづくりをして輸入して目先の利益を得る一部の企業、政治家の私利私欲だけでは、最終的に、「無駄なコスト競争」のまま衰退期から抜け出せなくなります。


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2008年04月09日

人事部は必要ないのか

 実際に人事部をなくしてしまった企業が、積水化学工業です。ユニット型住宅「セキスイハイム」や住宅建材、高機能プラスチックなどで知られています。2007年1月、人事部を廃止し、本来の残すべき人事機能を人材グループとしてCSR部の中に移しました。「せっかく積水化学を選んだ従業員が、うっとうしいなと毎日思って会社に来て、いい仕事をするわけがない。また、人事部は人事部で人事考課をつけたり、異動させたり、社員を管理することが仕事と思っている。本人の持っている能力や可能性は氷山のようなもの。海の下に潜んでいる9割をどう発揮させるか。そういうことをやろうよ」と社長が言っていたそうです。

 社員がいい仕事をすれば業績がついてくると社長は思っています。いい仕事とは、従業員がその仕事に惚れ込んで、その意味をきちっと理解して進めていくことです。従業員をそういう方向に持っていくにはどうすればいいか。それを考えると、人事部が異動や人事評価といった人事管理を行う権限をもつというのは不可思議な話かもしれません。部下の仕事ぶりを知っているのはそのライン長です。ライン長が従業員を育てるという意識をしっかり持って仕事をしていくことがあるべき姿なのでしょう。その証拠の一つとして、人事部のほとんどの機能をアウトソーシングしてしまった企業も増えてきています。

 意思に重要なのはコーチだとも言っています。マラソンの高橋尚子選手は積水化学に6年所属していました。その6年で6回優勝しています。その時の彼女には優秀なコーチがいました。ただ、今はコーチがいなくなって苦労しています。オリンピック選手でさえ、コーチで変わってしまう。ラインの中で上司や先輩が的確なコーチをし、本人も研鑽をして、成長し合うことが企業の成長につながるのだと思います。

 では、従業員の意思、上司のコーチ能力、リーダー育成をやればいいのでしょうか。それだけではなく、新しい事業を作り出す人材が企業には必要です。係長、課長、部長、事業部長の階段を上がって行くほど、TRIZ用語でいう「心理的惰性」が働き、創造性はなくなっていくようです。従業員本人の学習と研鑽、上司や先輩の的確なコーチ、新事業を創造できる尖がった人材の許容と輩出の風土としくみづくりの3者が噛み合うことを考えていきましょう。


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2008年04月08日

「カーリング型」新入社員ではいけないのか

 日本のほとんどの職場で、新入社員が入ってきて、彼らをどう育てようか悩んでいる人も多いと思います。社会経済生産性本部が、毎年、新入社員の傾向を把握してネーミングしています。2008年度のタイプが、「カーリング型」だそうです。カーリング競技のように、指導者が新入社員の進むべき道を手厚く段取りしてやる必要がある人材タイプだそうです。

 では、今年の新入社員だけがそうなのでしょうか。私の35年間の企業での人材育成経験を大きなトレンドで眺めてみると、おおまかには、どの時代も新入社員という最初の1〜2年間ぐらいは、50歩100歩だと思っています。明らかに違ったのは、35年ぐらい前のオイルショック前後とバブル崩壊後の就職氷河期の学生には、ハングリー精神みたいなものがあったようです。でも、すぐに、入社した企業の社風に染まってしまったのではないでしょうか。

 ずっと、親や学校の過保護の下で育ち、自分の意思でものごとを決断し、実行した人は一握りの人たちではないでしょうか。それができる新入社員は、入社後の適正評価結果で判断すると10%にも満たないのが現実だと思います。成長し続けている企業では、あるサイクルで、組織変更したり、「イノベーション・・・」のような企業変革活動を実施したり、経営管理手法を導入したりして、社員に危機感を煽り、刺激し続けています。新入社員に対しても、コーチと上司が方向付けを行い、若いうちに大きな気づきを与えることが必要なわけです。鉄は熱いうちに打てです。

 今も昔もビジネス社会は競争社会です。自分の思い通りにならないことの方がむしろ多いと思います。学校であれ、会社であれ、世の中には公平なルールに基づいて行われるべき競争があり、勝ち負けがはっきりするのが現実なのです。「気づき」の能力も、環境によって磨かれていくわけです。常に鍛えられる場所に身を置いていなければ、個人の能力は磨かれないのです。20数年間の思考訓練のやりかたとして、新入社員と先輩コーチおよび上司との交換ノートで鍛えることをお薦めします。クラシックな方法ですが、言葉だけのコミュニケーションはすぐ抜けてしまいがちですが、いつまでも残り、書くことで気づきや思考回路が全開するはずです。これぞ、山本五十六の「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」です。新入社員だけでなく、先輩や上司の人たちにも気づきを与え、相乗効果を与えるはずです。


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2008年04月07日

やはり、ゴーンマジックはなかった

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、2008年度から始まる次期中期経営計画からコミットメント(必達目標)経営を修正する考えを明らかにしました。3カ年の中計期間を5年に延ばし、最終年度の世界販売目標を対象から外す方針のようです。 日産を驚異的な再建に導いたカルロス・ゴーン社長のコミットメント経営にとっては 初の未達となるわけです。373万台を目指していた世界販売は、日米の不振により 350万台を割り込む水準となるようです。 コーンさんは、どう責任を取ろうとしているのでしょうか。

 コミットメント経営の良し悪しも見えてきたのではないでしょうか。谷から山への上り坂の条件下では、威力を発揮してきたと思いますが、さらに高い山を目指すには、ブレークスルーが必要となります。バリューアップが未達となっても、日産の業績は世界の主要プレーヤーのなかで高いレベルにあります。 06年度の営業利益率は、トヨタに次ぐ世界2番手の儲け頭であるホンダと同水準です。 経営的に少し余裕のあるこの辺で、新しい日本流の経営手法を確立するチャンスかもしれません。

 私もコミットメント経営を体験してきたこともありますが、数回高い目標にチャレンジして、それを達成してしまうと、次の目標設定が難しくなります。おまけに成果主義の場合、クリアできない目標は避けて通る風潮が出てくるようです。そうしないと、年収ダウンや昇進もなくなってしまいます。そこが数値だけを追って失敗する点なのではないでしょうか。あとチーム力が弱まる点も見逃せません。チーム力を評価することも自動車産業のような成熟産業にとっては必要となります。

 ライバルのトヨタでは、フラット化した組織の弊害を是正するために、小ピラミッド組織を復活させています。いままでないがしろにされてきたミドルを復権させたわけです。これによりOJTやチーム力を強化していこうという趣旨のようです。一部のとんがった人の英知よりも集団の英知を重要視したわけです。これはこれで一理あると思います。日産は、世界のベンチマーキングとなるような、ゴーン流+日本流の新しい経営スタイルを確立させていただきたい。


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2008年04月04日

モディリアーニに鑑る抽象化思考力

 3月31は、関東地方が雨の降る真冬の寒さに見舞われました。桜は満開だというのに花冷えのする寒い一日でした。この寒さだと展覧会への人の出足も鈍るだろうと思い、家族と一緒に、新国立美術館の「モディリアーニ展」に出かけました。仮説通り、来館者は少なく、ゆったりと見学することができました。30代と40代にも2度、モディリアーニは鑑賞していましたが、50代では、視点がこうも違うものかと思いました。

 モディリアーニといえば、面長の埴輪風の肖像画が特徴の画家ですが、若いころは、ピカソと同じように写実的な絵画をたくさん描いていたようです。絵画のためのたくさんの素描によれば、基本をしっかり鍛えていたことがわかりました。そのうちに、アフリカ美術に興味を惹かれ影響されるようになってきたわけです。ピカソやマリーローランサンなどとの親交により、お互いの画風にも影響しあっていたような気がします。最終的、素朴な線で人間性まで表現してしまう画風になっていったようです。

 モディリアーニは、1906年ごろから1920年まで活躍した画家でした。イタリアからパリに出てきて、美術学校で学び、約14年間活躍して36歳という若さで他界してしまいました。生存中は貧乏で、何人かの画商に画材や生活費の援助を受けて、画を描き続けてきたようです。今回の展覧会に出品された作品をみると、キャンバスでなく、厚紙や新聞紙などに直接描いた絵画が多く、生活の苦しさを証明していました。

 使用した絵の具の種類は少なく、面の分割と線による特徴を捉えた人物像は、素朴で、人間味も鮮やかに描き出しています。面と線の抽象化により、人物の内面の深さをえぐり出そうとしている様がひしひしと伝わってきました。面と線を抽象化することによって、そこから見る人に想像力を発揮させようとしているように感じます。正に、思考法の基本スキルである抽象化思考力と共通していると考えられます。


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