2013年12月12日

日本の財政の崖(絶壁)を無視すると4月以降が恐ろしい。想定外ではない。

 このブログのテーマと違うと思われる方もいるかもしれないが、ここ10年ぐらいで非常に重要なテーマの一つで、本質思考に関することなので取り上げた。12月11日のブルームバーグ(Japan Headed for Fiscal Cliff, High Frequency Economicssays)の記事は、ショッキングな内容で警鐘を鳴らしている。カール・ワインバーグ氏らハイ・フリークエンシー・エコノミクスのエコノミストがリポートでこのような見方を示した。アベノミクスは安倍首相の自民党への支持を高めるために初期に多くの策を打ち出したが、財政による景気刺激の速いペースは今後3カ月程度で減速するだろうとし、来年4月に崖から落ちるだろう。また消費税引き上げの影響を相殺するための新たな刺激策はまだ「完全に策定されていない」とも指摘。アベノミクスが終わった後それに代わる財政政策を実施する資金が日本にはないだろうとし、追加策は赤字財政支出を増やすだろうとしている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルでは次のように書いている。4月実施の消費税引き上げは国内総生産(GDP)をすぐに1%ポイント低下させる。アベノミクスと呼ばれる特別公共支出の終了は経済成長率をさらに1%ポイント低下させる。合計でこれらの変更は来年第2四半期のGDP成長率を年率ベースで8%ポイントも低める。アベノミクスによる財政支出は最近の四半期になっていくらかの経済成長を可能にしたが、たいしたものではない。第3四半期の最初の予想は、公的支出のGDP成長率に対する寄与は1%ポイント未満だ。また全アベノミクス政策は年間のGDPの2.7%に相当する。しかし、物やサービスを生産する経済の潜在力は労働人口が老齢化し引退するに従って徐々に低下してきている。アベノミクスが始まってからの消費者物価の上昇は円安のおかげであった。そして、貿易収支の赤字は警告が必要なペースで拡大している。アベノミクスによる特別公共支出が来年の4月に終われば、財政刺激策から財政抑制策に変わる。3%の消費税引き上げは、実施されればGDPを押し下げるだろう。まともなエコノミストは一時的なCPIの上昇が増税によって起こった場合はこれをインフレとは呼ばない。来春に日本が財政の崖から崩落することは避けようがない。

 日本のエコノミストで、上の記事よりも先に警鐘を鳴らし続けたのは植草一秀氏一人だけだ。9月17日に、参議院議員会館会議室で消費税増税に反対する緊急アピールの記者会見を行った際、2014年度の日本版「財政の絶壁」問題についての見解を示している。日本のメディアは、日本版「財政の絶壁」問題をまったく取り上げていない。国会でも議論されていない。要約すると次のようになる。2013年の米国経済最大の問題は、「財政の崖」問題だった。米国財政収支をGDP比3%規模で圧縮する政策が提示されていた。米国経済が「財政の崖」を飛び下りたなら、2013年の米国経済は大不況に転落していたはずだ。米国は「財政の崖」を飛び下りることを回避した。財政赤字削減の規模をGDP比1.5%に抑制したのである。だが、日本は異なる。このまま進むと、日本は2014年度に「財政の絶壁」に転落する。1997年度に日本経済が崩落したときもまったく同じだった。1996年6月25日に橋本政権が消費税率2%引上げの方針を閣議決定したときに、これを契機に事態が暗転すると指摘している。

 崖という翻訳では、危機感は伝わってこないが、fiscal cliffを直訳すれば、絶壁なのである。その根拠を分かり易く定量的に植草氏が説明している。今後9兆円の負担といわれる消費税増税が実施され、景気の腰折れを防ぐために、6兆円規模の経済対策が実施されようとしている。今の日本の景気を支えているのは、2013年になって施行された13兆円の補正予算だという。来年2014年はこの13兆円の効果は続かない。つまり、来年度のマイナスは、増税負担9兆円の他に、補正予算13兆円のマイナスで計22兆円。安倍政権が5.5兆円の対策を講じるとしても、差し引き16.5兆円、GDP比約3%のブレーキがかかる。大企業社員の一時的賃上げなど糠に釘なのである。その証拠に、グローバル化と少子化により外国人労働者を受け入れるときには、賃金の地滑り的ダウンが待ち受けている。本質思考のできる人ならば、これらのことは容易に理解できよう。努々(ゆめゆめ)、想定外の出来事と思わぬように今から対応を考えておくべきであろう。

 
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2013年12月11日

新卒ニート数は、グローバル化の指標なのか

 今年度の文部科学省の調査で、大学を卒業した約56万人のうち6%にあたる約3万3千人が、就職も進学もしないニートであるという。ここ数年、この傾向が続いている。ニートの合計は、約60万人と言われている。ニートの増加は、グローバル化で競争社会にさらされ、それを拒否しつづけた結果なのだろうか。グローバル化の副作用と言ってもいいのか。ただ、親の給料や年金がセーフティネットとなっているため、顕在化しているが、対応策は先送りされている。国も親も危機感が不足している。

 世界中にはニートが約6億人もいると言われている。国際労働機構(ILO)は経済協力開発機構(OECD)加盟国を対象とした調査結果をまとめた。1位…トルコ(36.6%)、2位…イスラエル(27.4%)、3位…メキシコ(24.4%)、4位…スペイン(23.7%)、5位…イタリア(23.0%)、6位…アイルランド(21.0%)、7位…韓国(19.2%)、8位…エストニア(19.1%)、9位…ハンガリー(18.9%)、10位…スロヴァキア(18.8%)。最もニートが少ないのはルクセンブルク(7.1%)で、日本は9.9%の30位である。

 競争社会で失敗した人は、無職になる。ここで失敗した時にハローワークに駆け込めば、中高年ニートではなく、失業者として次を目指すことが可能だが、失敗者のほとんどがハローワークに行くことをせず、過去の人脈の中から転職先を探そうとするのだそうだ。失敗者の人脈は弱い。弱いから失敗した。その人脈で再就職しても失敗する確立は高くなるのだろう。そうやって、5年、10年と長期に中高年ニートを続けることになるという。産業の空洞化だけでなく、注目されているTPP交渉が締結されれば、外国人労働者が増加するだろう。さらに失業者が激増して、新卒ニートも増加する可能性が高い。

 新卒者の想いはどうなのだろうか。有名企業に入りたけど入れない。非正規社員だけにはなりたくない。親が安易に許してしまうのも原因の一つである。企業は即戦力を求めている。新卒だからと特別に採用してくれない時代になってきた。進学率が、25年前に比べて倍以上となっているが、企業が求める人材は増加しているとは言えない。必然的に非正規社員が増加し、限定正社員となって解雇がしゃすくなってしまう。以前、ユニクロの柳井社長が発言してメディアでバッシングされたことが正しいことが証明される日も近い。なぜなら、グローバル化が進むと、日本の給料も世界標準に収れんされていくはずである。客観的に分析できる人には、弱肉強食化施策の多くが、グローバル化の一断面であることが理解できるはずだ。これらを乗り切るためには、自分の頭で考え、判断する能力を磨くことが最重要課題なのだ。

 
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