2015年01月31日

歴史的に見てもトリクルダウンは今後も起こらない!そして、税制改革は消費増税では解決しない!(ピケティ)

 2014年12月8日、フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏著の「21世紀の資本(Capital in the Twenty-First Century)」の日本語訳版が書店に平積みされた。3月に、米国で英訳版が発売され、すぐにアマゾンの売上高ランキングのトップになったものだ。辞書と見間違うかのような分厚い本である。しかし、表現が平易で、比較的分かりやすい。経済評論家の岩本沙弓は以前から、21世紀の資本を要約して次のように一言で表現していた。「トリクルダウンなどは起きません!」むしろ、格差拡大を促進させるものだとしている。ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授)は述べている。「本年で、いや、この10年で、最も重要な経済学書になると言っても過言ではない。トリクルダウン≒アベノミクスとなっているので、非常にやっかいである。マスコミに洗脳され続けてきた日本人は、早く自律し、目を覚ますべきときがきている。

<日仏会館でのピケティ講演(1月30日)>


 経済理論としてのトリクルダウン(trickle down)は、「したたり落ちる」の意味である。大企業や富裕層の支援政策を行うことで、経済活動を活性化させ、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となるとする説を意味する。もっとも、トリクルダウン理論が成立する条件は、自然なインフレと、設備投資やインフラ整備で、経済発展が期待できる発展途上国の場合であろう。かつての高度成長時代の日本のようにである。アベノミクスは、第一の矢で、量的金融緩和によって、富裕層と外国人投資家(外資ハゲ鷹投資機関)に利益を供給したため、株価は上昇したが、円安でも、輸出は増大しなかった。それどころか、多くの国民は、物価が上昇し、生活が厳しくなった。第二の矢で、財政出動による公共投資にマネーを回し、建設業を中心に景気底上げを図ったが、実際は、建設業界は人手不足となり、大手ゼネコンが中抜きしただけに終わった。堀江貴文氏も、メルマガで次のように書いていた。「アベノミクスの真実:マスコミは確信犯だけど今が好景気だと騙されてるにわかトレーダーに一言。アベノミクスとは日本人が溜め込んでる1200兆円の預金の価値を下落させた分のお金を日本の市場に回す政策の事です。株価が異常に上がってるのはその金を横取りしようと外資が資金を集中してる為です。小泉政権の時に一時好景気になった現象と同じ。2年もすればもっと酷い地獄がきます。」

 「21世紀の資本」のまえがきに結論が書かれている。「本書の答えは、これまでの研究者が使えたものよりもはるかに広範な、長期的で比較可能なデータに基づいた答えとなっている。…格差の根底にある仕組みについて、もっと深い理解を与えてくれるような、新しい理論的な枠組みに基づいたものでもある。」「私の理論における格差拡大の主要な力は、市場の不完全性とは何ら関係ない。…その正反対だ。資本市場が完全になればなるほど、資本収益率 r が経済成長率 g を上回る可能性も高まる。」中身は、大きく3つの部分からなっている。まず、ここ数世紀にわたる、主に米欧での経済格差の歴史。第2に、今後の見通し。そして、格差是正への処方箋だ。15年ほどかけて各国の税務データなどを調べ上げ、実証的に論理を組み立てたのが特徴となっている。本文では、次のようなテーマが分析されている。経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか。資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか。所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか。重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かすと、格差についての議論に大変革をもたらす。」

 ピケティの主張は、「r>g」という数式に要約される。資本からの収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きいとしている。そのため、経済成長率と比例する賃金の伸びは、投資からのリターンを下回り続ける。資本を多くもつ人々の富は、雪だるま式に膨らむ一方、一般の労働者らは取り残され、経済格差は広がる。資本主義を否定はしていない。資本主義経済の結果である富の偏在に対して、いくつかの試案を示している。国際協調により資金移動を透明化し、資産家の富を把握した上で分配の再調整をしようとの考えである。つまり、税制改革で対応しようとしている。消費税ではなく、資本に累進的に課税する制度を創設し、グローバルで資産家から税金を徴収するとしている。バーナンキ FRB 前議長のように、「税金や、消費による富の目減り、相続による富の分割、社会貢献(フィランソロフィー)に伴う支出などを考えれば、必ずしも成り立たないのではないか」との異論も指摘されているが、本質思考で考えれば、大筋では現代の日本の処方箋としては、ピケティ流の方策が優っていると思える。日本でのいくつかのピケティ講演のハイライトは、次の通りである。欧州にとって、付加価値税(消費税)増税は関税引き上げ競争である。欧州の悪い税制を日本がわざわざ見習う必要ない。若年層や低所得層の税負担を軽くすべき。パートや有期雇用者などの所得を改善しなければ人口減少に歯止めがかけられない。

【 TRIZ | 感動製品=創造性*潜在ニーズ*想い@ぷろえんじにあ 】
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posted by proengineer at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする