2012年10月10日

山中教授のノーベル賞が示した研究・技術者の能力の評価尺度

 iPS細胞とは、体のさまざまな組織を構成している細胞になる可能性を持った初期化可能な細胞のことである。Induced(人工)Pluripotent(多能性)Stem Cell(幹細胞)の略とされる。小文字の「i」には、「iPod」のように普及してほしいという願いが込められているそうだ。病気になる原因を明らかにする研究や、新しい薬を作るのに役立てたり、病気やケガで失われた組織をiPS細胞から作った細胞で補う「再生医療」に使ったりできると考えられている。これは、ゴードン教授の基礎研究がベースになっているとされているが、モノではなくヒトが対象であることから、より画期的である。ここでは、山中教授の研究者としての能力の切り口で考えてみたい。

 父の勧めもあり、学生時代に柔道の骨折でよくかかった整形外科医を目指した。神戸大を卒業し念願の研修医になったが、脊髄損傷や重症のリウマチなど根治療法のない患者が圧倒的に多かった。また、手術が下手で、研修医時代に教官から「山中」ではなく「ジャマ(邪魔)ナカ」と呼ばれていた。挫折を繰り返し、うつ病寸前の状態だったようだ。父の死後、「治療法の開発には基礎研究しかない」と考え、大阪市立大大学院への進学を決め、研究者に転身した。カリフォルニア大学留学を経て、自由な研究環境を求め公募で奈良先端科学技術大学で准教授となった。そして、京都大学のiPS細胞研究所の所長として迎えられた経歴をもつ。

 研修医1年目で亡くなった父に褒めてもらうのが今の一番の目標だと言っていた。父は工学部出身で手先が器用だったようだ。大阪府東大阪市でミシンの部品を作る町工場を経営していた。中学のころ父から「家業を継がんでええ。経営に向いていない。」と言われたそうだ。研修医時に出会った患者と父親の背中をみて育ち、夢の再生医療の扉を開いてきた。「いままでできないことをできるようにする」父親のスピリッツを愚直に実践してきたのであろう。

 研究者の能力とは何か。皆さんが理解しやすく、非常に興味深い事例となっている。一般的なエリートとはだいぶ違うようだ。研究テーマも自分に適したものは何かと追求しており、多くの挫折も味わっている。また、ゴールに向かって、数多くの失敗にもめげず挑戦しつづけている。それを成功するまでやりきったことが今日のノーベル賞に繋がったのである。つまり、コンピテンシーと呼ばれる「挑戦心」、「やりきる力」が一般の研究者と桁違いに違うのであろう。これこそが、大きな仕事を成し遂げた人に共通する能力の本質的要素なのである。

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