2008年03月13日

液晶、携帯電話の業界再編の意味するもの

 電機メーカーの事業の再編が相次いでいます。テレビ用パネルでも動いたソニーが、今度は携帯電話で国内事業の大幅縮小に踏み切ります。ソニーはエリクソンと組んで世界の携帯市場のメーンプレイヤーのひとつになっているだけに、今回の動きは三洋電機や三菱電機の事業撤退とは違った意味を持ちます。ソニーはNTTドコモ向けの携帯電話機事業から事実上撤退すると発表しました。年内に開発・生産を打ち切り、国内の携帯事業を大幅に縮小して、主力の海外事業に注力するそうです。飽和傾向を強める日本の携帯電話機市場には約10社のメーカーがひしめき、収益環境が悪化している。すでに、中下位の三洋電機と三菱電機も撤退を決めており、市場淘汰の流れが波及してきたようです。

 ソニーは折半出資会社である英ソニー・エリクソンを通じ、「ソニー・エリクソン」ブランドで製造・販売しています。AUとは共同事業を続けていることから引き続き供給し、海外に重点を移すとしています。三菱電機は、市場の成熟化で販売が伸び悩み、採算が悪化しているため、新規開発や生産を取りやめるということです。三洋電機も同端末事業を京セラに売却することをすでに決めております。端末ビジネスは、地上波デジタル放送「ワンセグ」の視聴などの高機能化で開発費も高騰しており、三菱電機は採算の改善が困難と判断し、撤退を決め、経営資源を主力の重電システムや自動車関連機器、空調機器などに集中させる方針だそうです。

液晶テレビの雄のシャープがパイオニアの筆頭株主となるのは、業績が低迷するパイオニアの買収防衛策の意味合いもあるようです。シャープはソニーだけでなく、パイオニアや東芝など業界の他の有力企業とも提携を結ぶことで、「液晶パネルの製造」分野の規模を拡大しているようです。この分野で業界トップの地位を獲得し維持することを狙っていることが、工場建設などの裏付けでも分かります。液晶パネルと並んで太陽電池の製造の分野でもシャープは強いが、東京エレクトロンとの提携はやはり「製造」メーカーとしての地位を維持するためのものだろう。このようにシャープの戦略は、「製造」という機能を強くし、水平方向に事業規模を拡大する戦略のようです。いっぽう、ソニーは「自前の工場を持つこと」をあきらめ「自社ブランド製品を出荷すること」に重点を移した感が強いようです。アメリカでのブランド力はまだ高いので、垂直方向に注力し最終製品で勝負するのが得策となったのでしょう。

 競争が激しくなって利幅が小さくなると、Value Chainのどこで競争すべきかの意思決定が重要となります。もはや、液晶パネル業界は価格下落が著しい業界で、利益を確保するのが難しくなっていると言われています。そうした業界では、業界再編が進み、寡占化が避けられないが、垂直に注力してブランドを取るか、水平に注力して生産技術力を取るかで企業の明暗が分かれます。ITサービス業、人材ビジネスでも、再編が起こりそうな気配ですが、ソニーとシャープの選択はそれぞれ参考になりそうです。ソニーの場合には、ブランドという過去の遺産を食い潰してしまう可能性も考えられます。おそらく、有機ELに社運をかけて自社生産をしていくと思われるが、ものづくりに関しては、新技術開発と生産技術開発を捨てた企業に明日はないと思います。


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