2013年01月28日

真のメンターに巡り合う方法

 いままで、キャリアカウンセラー、キャリアアドバイザーあるいはメンターとして、主に、研究者、技術者および工学部の学生・大学院生の相談にのってきた。その中で、クライエントから良い質問があった。「良いメンターとはどうめぐり逢えばよいのか。」でした。ちなみに、メンターとは、「仕事、キャリアあるいは人生に対して適切なにアドバイスをしてくれる人」と定義され、語源は、トロイ戦争に出てくる名教師の名前に由来している。メンターに期待することは、概ね次のようなケースである。
 @今後のキャリアパスの参考にしたい。
 A仕事、キャリアあるいは人生で困ったときにアドバイスしてほしい。
 B仕事や人生に対するスタンスや考え方のヒントを与えてほしい。

 従来のメンターは職場の上司や先輩が一般的だったようだ。最近、成果主義などの人事制度を導入する企業が増えたり、メールへのコミュニケーションの代替化が進み、先輩や上司とじっくり話す機会が少なくなっている。いくつかの企業では、メンター制度を人事制度に組み入れている。役員自らメンターになったり、選抜された優秀な人材をメンターに指名したりしている。社長にもメンターに近いコーチがついている時代だ。ある意味では、企業の求める成果に一歩近づけるかもしれないが、真のメンターになっているのだろうか。

 少しでも参考になればと思い、私がめぐり逢ったメンターについて例をあげて何人かを紹介する。入社時には、エンジニアの卵として、一対一ではないが、技能エキスパートであったり、設計のエキスパートであった。2年間メンターを付けてもっらった。しかし、真のメンターは、企業で指名されたエキスパートの方々だとは思わなかった。その責任者である技術部門長を、私自身が勝手にメンターと思い、実習ノートで本音の意見交換をしていた。理由は、実習に対して想いが一番強い人だったからだ。製品の生産設計時には、設計部門の上司や先輩ではなく、電気関係を専門とする他部門のプロジェクトリーダーをメンターと思い、ディスカッションしていた。理由は、真の目的は何かの意味で、書いた図面の線一本一本の意味を質問してもらい、専門外の人から視点を変えて、設計とは何かを教えてもらった。マーケティングや人生についてなど、まだまだ、場面場面で別の多くのメンターを勝手に指名したものだ。

 良いメンターにめぐり合うためにはどうすればよいと思うか。ジャックウェルチの新刊書の「私ならこうする(日経新聞社)」を読んでいたら、今回のテーマへのジャックウェルチの回答が、私のメンターそのものであったことが理解できた。つまり、「最高のメンターとは、会社が作る制度のようなフォーマルなものではない。社内の人間であろうとなかろうと、同じ仕事についていようがいまいがこだわらなくてよい。喜んで教えてくれる人からあらゆる機会を捉えて学ぶこと、それこそが真のメンターなのだ。」ということに共感できた。なお、私自身が多くの方々からヒントやアドバイスをしてもらった感謝の気持ちとして、私も、強い希望をもったエンジニアのメンターを引き受けている。

<スピード発想術書籍URL>
 http://gihyo.jp/book/2010/978-4-7741-4106-0
<エンジニアの生き残りのヒントがいっぱい!「ぷろえんじにあ」のHP>
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2013年01月19日

TRIZを活用する課程で地頭力は鍛えられる

 みなさんは、「優秀さ」という意味をどう解釈するだろうか。どこそこ大学を優秀な成績で卒業したというのが日本の企業の判断軸であった。なぜなら、企業の新卒採用で「指定校制度」というのが慣習として長い間存在していた。建前上は肯定しないが、現在も顕在のようだ。特に技術系では、人事担当者の言い分として、大学の教授のご機嫌を損ねると学生を推薦してくれないということのようだ。言い方を換えると、人事の役割を放棄してしまっていることと同じだ。

 優秀さ(頭がいい)というのは、どういうことを意味するのだろうか。例えば、細谷功氏が、Think(東洋経済新聞社)の中で、フェルミ推定という視点で「優秀さ(頭がいい)」を3軸で定義している。1軸目が「知識量」、2軸目が「機転が利くこと」、3軸目が「地頭力」としている。知識量は記憶力であり、機転が利くことは人の気持ちを瞬時に察して行動できることであり、地頭力は環境変化に対応して問題を解決できる能力である。この中で、地頭力の鍛え方が重要なのである。

 「地頭力」について、もう少しブレークダウンしてみよう。地頭力には、ロジカルシンキングの左脳思考と発想や感性の右脳思考の両者を兼ね備えていなければならない。前出の細谷功氏の言葉を借りれば、「地頭力」とは、@結論から考える「仮設思考力」、A全体から考えるフレームワーク思考力、B単純に考える「抽象化思考力」とされている。

 従来、左脳思考力であるロジカルシンキングについては、体系化され教育されMBAなどで訓練されてきた。しかし、右脳思考力については、あまり的確に提言されてきたものがない。私は、ここに「地頭力」の鍛える方法として、TRIZの活用を薦める。なぜなら、TRIZには、仮設思考力とほぼ同じに活用できる「究極の理想解」、ものごとをシステムと捉え全体像から俯瞰する「9画面法」、「一般化(抽象化)≒目的展開(機能展開)」というツールが用意され、訓練できる環境にある。左脳と右脳のコラボレーションこそTRIZの差別化要因であると考える。


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2013年01月15日

阿川佐和子さんの「聞く力」はハウツー本にあらず。生きるためのヒント

 12月27日のNHKの「朝いち」に阿川佐和子さんが出演していた。彼女が著した「聞く力」は、100万部を超え2012年のベストセラー書籍となっている。これだけ、基本的なコミュニケーション力に自信をもてない人が多いということなのか。裏話や本に書かれていないことが聞けるかもしれないと思ってテレビを注意深く観ていた。ベストセラーとなった要因として、友人たちが言うように、「阿川さんなら、話してもいいか。」と思わせていまうほど、信頼関係構築が上手い。話の中で、私も自分の体験したことと重ね合わせて考えると、いくつも腑に落ちることがある。。

 彼女が著した「聞く力」は、いわゆるハウツー本を書く目的で書かれてない。いままで、週刊文春でのいろいろなキャラクターの持ち主との対談、テレビ朝日のテレビタックルのビートたけしや個性的な論客たちを仕切る司会での経験則をまとめたとのことであった。その対談や司会で、成功例や失敗例から多くを学び、それをまとめて紹介したものと言っていた。より具体的な体験談であるので、多くの人に共感を与えたのかもしれない。謙虚で優しい眼差しの阿川さんの第一印象は、カウンセリング用語でラポール(信頼関係構築)を加速してくれるはずだ。

 番組の中で、「聞く力」のポイントをいくつか紹介してくれた。例えば、「面白がって聞く。」、「慰めの言葉は2秒後に。」、「安易に分かりますとは言わない。」、「相槌は人によって使い分ける。」など。そして、もう一つ皆に知って欲しい共感ポイントがあった。難しい上司やおじさんと上手くコミュニケーションをとる方法である。「褒めること」これにつきるようだ。「今日のネクタイ、似合ってますよ。」、「○○さんの笑顔は素敵ですね。」このように、何気ない会話の中に誉め言葉を入れると効果的だそうだ。雑誌の編集者から仕入れたとのこと。誰からも好かれる女の子に、その編集者も教えてもらったようだ。

 私も、大学の授業で、学生のモチベーション向上策の一つとして、「褒めること」の効果を実感した。通常の授業でも何か一つは褒めることにしている。そして、凄い仕掛けにもう一つ気づいた。例えば、プロジェクト型授業の最終報告会で、学部長、メーカーの商品開発部長などにコメンテーターとして講評をお願いしたことだ。第三者に褒めてもらうことは、非常に動機付け効果抜群でした。褒めた後に、仮に厳しい指摘を受けても、もっと勉強しなくちゃと思ってくれる。さらに、ノーベル賞の山中教授でさえ、亡くなった父に褒めてもらうのが今の一番の目標だと言っていたくらいだ。

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2013年01月08日

就活の理想解とは 高校までの間に地頭力をいかに磨くかである

 私は、技術開発コンサルタントや大学講師以外に、10%ぐらいの割合でキャリアカウンセラーも兼務している。最近、就活者から藁をもつかむ真剣な質問が急増している。マニュアルに書かれたようなアドバイスは、就活入門者には有効でも、数十社もエントリーしている者には、呪いにもならない。ここで、かなり参考となると思われるので、古いかもしれないが本質的な課題を提供できる事例である。就活の理想解(あるべき姿)かもしれない。オイルショックのころ、ものづくり企業はパニック状態で、多くの企業が採用を激減させていた。現代と違って、就活のマニュアル本もキャリアカウンセラーも存在しなかった。唯一の参考資料が、大学の学生課が収集した先輩が書いたアンケート結果だ。当時、自動車会社を志望していたが、縁故採用以外はゼロであった。そこで、興味ある商品でなく商品開発や設計業の職種に志望を変えた。志望先に選択したのが、パナソニック、ソニーおよび工作機械メーカーであった。

 ここに逆転の発想を活用してみた。企業の求める人材とのマッチングで齟齬が生じないようにするには、そうすればよいか。マニュアル的な対応でなく、論文や面接では、自分の意思どおり、脚色せず応答した。その結果、工作機械メーカーは、役員面接まで進んだ。服装は、6月の蒸し暑い時期だったため、まだその文化のない時代にクールビズを実践した。別の学生がスーツにネクタイなのに対して、ノーネクタイで半袖シャツで臨んだ。全て本音の受け答えで通した。面接が進むにつれ、面接官の一人が、高校野球の話題を振ってきた。これで、脈があると感じた。その後、健康診断があり、係りの女性スタッフに試験の感想を聞き、「○○さんの試験結果は、トップクラスのようです。」を引出した。そして、合格通知が届いた。その数日後、パナソニックの役員面接があり、本音で応えてみたが、不合格通知が届いた。斬新な考えは認められず、求める人材と異なっていたようだ。

 最後に、飛ぶ鳥を落とす勢いがあった当時のソニーの試験を受けた。それは斬新なプログラムであった。筆記試験は、他社と似たような問題であった。違うところは、一次試験合格者に対して、保養所で合宿選考が組まれていた。その中で、専門面接とコンピテンシー(成果に直結する思考・行動特性)面接が組み込まれていた。さらに、マーケティング実践試験も課せられた。数人単位のチームに分かれて、あるテーマについて周辺地域の住宅を訪問する市場調査を行い、レポートを纏め上げるものだった。ここまでやれば、メッキは剥がれる。本音でしか立ち向かえない。そして、役員面接があり、その待合室で、30分ぐらい、人事担当者と数人で雑談をした。役員面接では、納得できる受け答えはできなかった。でも、合格通知が届いた。入社後、採用担当者と懇親会があり、役員前の雑談が、実は、コンピテンシーをチェックする本番の試験だったことが明かされた。さらに、実家の近所の人たちから、興信所の調査があったことも聞いた。子供のころの様子や家族や近所との関係などを詳しく聞かれたそうである。もう一つの謎が解けた。当時の大賀社長は、仕事の能力は最終学歴ではなく、中学、高校までの能力の方が重要だという説を唱えていたようだ。なるほど、地頭力を確実にチェックできれば、企業は必ず伸びていく。

 パナソニックやソニーの凋落は、多くの人々にとってもショッキングな出来事であろう。それは、主に経営者の選択と集中や投資などの判断力が大きな原因でああるが、人材開発の源流管理にも大きな問題が隠されている。つまり、企業への入り口である採用も企業の未来を左右している。就活に理想解はない。マスコミのムードや自身や家族の先入観で選択してもいけない。ありのままの自分を企業側に選んでもらうのも有効かもしれない。自身で選ぶにしても、企業に選んでもらうにしても、挑戦心、やりきる力、学習力、リーダーシップ力、課題解決能力などコンピテンシー(成果に直結する思考・行動特性)を、子供のころから、いかに磨くかにかかっている。例えば、「やりきる力」は、お客様や自分自身との約束を守ることも意味する。それで、信頼関係が構築でき、自信に繋がり、高い目標も達成できる。子供のころから培ってきた強みや好奇心などの自己分析と自分はどうなりたいかの真摯な想いを、紙に書き出し意識することから道は拓けるであろう。

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2012年12月06日

どうしたIBM グルーバル時代のビジネスマンの処方箋

 2012年末の日経新聞に非常に残念な記事が掲載された。「日本IBMの人員削減を巡る動きが訴訟に発展している。最近、退社した元社員3人が10月15日、同社を相手取り解雇の無効と賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴した。原告の一人は『突然解雇されて戸惑っている。こういうことが続いていいのかと思い、裁判に踏み切った』と語った。」日本IBMは、ここ10年間ぐらいで、ものづくり企業から脱皮を図り、システムソリューション主体の会社に転換を遂げてきた。今春、56年ぶりに外国人社長が就任した段階から、外資系企業特有のドライな印象を強めているようだ。

 少なくとも、数年前までは、リストラをする場合、自主的な逃げ道を残す方法をとり、タダの外資ではなく、日本IBMらしさがあった。日本的だった時代のエピソードを紹介する。日本IBMの人事企画部長の同い年の友人がおり、7〜8年前まで、富士ゼロックスと働きやすい会社ランキングの上位を競い合っていた。コンピテンシー(成果に直結する思考・行動特性)システムの開発、専門職制度の構築、キャリアカウンセリング制度の構築など、お互いにベンチマーキング(業界の垣根を越えたあるべき姿)されるような企画を仕掛け、切磋琢磨しあっていた。

 ところで、2005年の日経働きやすい会社ランキングでは、どうだったのだろうか。1位:日本IBM、2位:松下電器、3位:東芝、4位:NEC、5位:東京電力、6位:富士ゼロックス、となっていた。日本IBMは、正当な評価、休暇の取得状況、女性の活用等、外資系企業の良い面が企業文化として浸透しているとして評価されていた。参考のため、2012年のランキングは次のようであった。1位:パナソニック、2位:日立、3位:東芝、4位:ダイキン、5位:ソニー、6位:第一生命。この中で、パナソニックやソニーのように、リストラが常態化してきた企業も含まれており、必ずしも、経営の良し悪しとはリンクしていないようだ。

 グローバリズムの加速、労働環境の非正規化の拡大の時代に、うつにもならずどう生き抜くのかが大きな命題となりつつある。それのは、画期的な処方箋はない。私が薦めたいのは、厳しい時代のその節目節目で、よりベターな判断をするため、良いメンターにめぐり合うことである。ジャックウェルチが出した答えと同じである。「最高のメンターとは、会社が作る制度のようなフォーマルなものではない。社内の人間であろうとなかろうと、同じ仕事についていようがいまいがこだわらなくてよい。喜んで教えてくれる人からあらゆる機会を捉えて学ぶこと、それこそが真のメンターなのだ。」


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2012年10月10日

山中教授のノーベル賞が示した研究・技術者の能力の評価尺度

 iPS細胞とは、体のさまざまな組織を構成している細胞になる可能性を持った初期化可能な細胞のことである。Induced(人工)Pluripotent(多能性)Stem Cell(幹細胞)の略とされる。小文字の「i」には、「iPod」のように普及してほしいという願いが込められているそうだ。病気になる原因を明らかにする研究や、新しい薬を作るのに役立てたり、病気やケガで失われた組織をiPS細胞から作った細胞で補う「再生医療」に使ったりできると考えられている。これは、ゴードン教授の基礎研究がベースになっているとされているが、モノではなくヒトが対象であることから、より画期的である。ここでは、山中教授の研究者としての能力の切り口で考えてみたい。

 父の勧めもあり、学生時代に柔道の骨折でよくかかった整形外科医を目指した。神戸大を卒業し念願の研修医になったが、脊髄損傷や重症のリウマチなど根治療法のない患者が圧倒的に多かった。また、手術が下手で、研修医時代に教官から「山中」ではなく「ジャマ(邪魔)ナカ」と呼ばれていた。挫折を繰り返し、うつ病寸前の状態だったようだ。父の死後、「治療法の開発には基礎研究しかない」と考え、大阪市立大大学院への進学を決め、研究者に転身した。カリフォルニア大学留学を経て、自由な研究環境を求め公募で奈良先端科学技術大学で准教授となった。そして、京都大学のiPS細胞研究所の所長として迎えられた経歴をもつ。

 研修医1年目で亡くなった父に褒めてもらうのが今の一番の目標だと言っていた。父は工学部出身で手先が器用だったようだ。大阪府東大阪市でミシンの部品を作る町工場を経営していた。中学のころ父から「家業を継がんでええ。経営に向いていない。」と言われたそうだ。研修医時に出会った患者と父親の背中をみて育ち、夢の再生医療の扉を開いてきた。「いままでできないことをできるようにする」父親のスピリッツを愚直に実践してきたのであろう。

 研究者の能力とは何か。皆さんが理解しやすく、非常に興味深い事例となっている。一般的なエリートとはだいぶ違うようだ。研究テーマも自分に適したものは何かと追求しており、多くの挫折も味わっている。また、ゴールに向かって、数多くの失敗にもめげず挑戦しつづけている。それを成功するまでやりきったことが今日のノーベル賞に繋がったのである。つまり、コンピテンシーと呼ばれる「挑戦心」、「やりきる力」が一般の研究者と桁違いに違うのであろう。これこそが、大きな仕事を成し遂げた人に共通する能力の本質的要素なのである。

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2012年10月03日

「これは凄い。感動した。」 TRIZセミナーで何が起きたのか・・・。

 「お客様に感動を」を経営理念として、6年前に、ぷろえんじにあ(旧プロエンジニア教育研究所)を立ち上げた。特に、TRIZセミナー(創造性開発手法セミナー)では、10〜20%の受講者にはどうしても難解として受け取られてきた。ところが、先週、実施したTRIZセミナー1日コースでは、思いがけないことが起きた。セミナー終了と同時に、数人の受講者が私のところに駆け寄り、「これは、凄い。感動した。」と叫んだ。ちょうど、Serendipityの現象のように、いままで追い求めていた解決策がヒラヒラと天から舞い降りてきたような感覚である。

 そのTRIZセミナーは、年齢層が20代から50代と幅広く、女性が約30%の技術系を対象としていた。TRIZは初めての人がほとんどである。最適セミナー参加者数は、講師として参加者を把握できているとはいえず、やや多すぎる感がある。そのような状況で、いままで、大学で7年間、試行してきたものづくり教育の自律化支援プログラムの考え方を、今回初めて応用してみた。

 モチベーション向上施策の切り口を、@好奇心(面白さ)、A挑戦心、B意義・目的、Cチームのコミュニケーション、D承認(誉められること)の5つに集約する。その原理原則に則り、プログラムを改変してみた。ツカミ部分では、旬のエピソードを例に受講メリット(意義)を説明した。テキストの重要キーワードを所々空欄とし、好奇心を倍増させた。演習は、個人で考えるものとチームで考えるものに分けてメリハリをつけた。そして、演習の発表では、必ず良いところを見つけて誉めるプロセスを加えた。最後の演習の解答例には、興味をそそる省エネや魅力的新商品技術に繋げて、こういうプロセスで自分たちも挑戦さえすれば可能性があると思わせた。

 いままで、何十回とセミナーを実施してきたが、満足度80%まで達成していることで、改善・改革を怠ってきたようである。セミナーの中身に照らして言えば、いままで、不満足要因を潰して改善活動を行う、なぜなぜ展開のアプローチであった。今回のアプローチは、何のためにセミナーを実施するのかを考える目的展開のアプローチで攻めてみたわけである。つまり、なぜなぜ展開では改善効果レベルであり、改革レベルの解決策はなかなか得られにくい。長い間忘れかけていた、ものごとの本質まで追求する目的展開の威力を身をもって体験できた。

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2012年07月01日

ソニーは歌を忘れたカナリアか?エンジニアよ原点に還れ!

 ソニー、パナソニック、シャープ、NEC等々、数千億円レベルの損失により、1万人単位のリストラ計画が相次いでいます。液晶テレビ事業の戦略の誤りなど、多くの経営責任もありますが、エンジニアの視点に立って、何をしなければいけないのかもアドバイスを求められます。私が在籍した企業の先輩や社会から学んだことを、ものづくりの原理原則として整理してみました。多くのエンジニアのみなさんが参考にしていただければ、自ずと明日からの行動に変化が見られるのではないでしょうか。まず、私が実践してきた原理原則の3つは、ソニースピリッツとも言われております。
 @自由闊達(技術の上では皆平等、楽しくなければ仕事ではない)
 A素人アイデア尊重(知見者の意見は参考程度)
 Bチャレンジ精神(目標は世界一)

 エンジニアの行動指針として、お客様の視点(マーケティング風)から整理すると次のようになります。
 @お客様の欲しがるものではなく、お客様のためになるものを創れ
 A良いものを安く、より新しいものを早く
 Bサイズやコストは可能性で決めるな。必要性、必然性できめろ
 C新しい種(商品)は育つ畑(市場)に蒔け
 D市場は調査をするのではなく創造するもの世界初商品の場合調査はあてにならない

 先輩達から受け継がれてきた暗黙知(良い意味で盗んできた)である、研究開発の行動指針は次のようなことだと思います。これは、ソニーエンジニアのDNAでもあります。
 @自分で手を下し、手を汚して初めて本質がわかる
 A技術の世界に常識はない。無理なものは、別な視点でアプローチする
 B他社の動きを気にし始めるのは負けの始り。人まねはするな
 C素性のよいものを見つけ出す。開発は、パラレルに進め、一番すんなりと出来たものが素性のよい商品
 D使った知恵の量だけ付加価値が得られる
 Eできない理由はできることの証拠。できない理由を解決すればいい
 F不幸にして意気地のない上司についた時、新しいアイデアは、上司に黙って、まずプロトタイプを創れ

 ここ10数年の間、日本のものづくりは、製造現場だけでなく、研究開発まで海外移管され、技術と雇用の空洞化を加速させています。改善的対応策をいくら講じても何ら解決しない。今こそ、あるべき姿(TRIZの究極の理想解)を深堀りすべきだと思います。例えば、その成功モデルは、アップルのジョブスにあります。彼は、ソニーから多くのヒントを吸収し、ゼロックスの研究所でユビキタス概念に出会い、先にユビキタスPCなどを商品化したのです。

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2012年06月21日

心の琴線に触れた小島兆二展の水彩画

ススキ野原.jpg 50年ぶりに、幼なじみの小島兆二君から個展開催の電話があった。「定年後からまた、絵を描き始めたんだ。君もやれよ。」と生き生きした声が弾んだ。明海大学病院(東部東上線川角駅から徒歩10分城西大学の向かい側に位置している)のイベントコーナーで、2012年6月1日から7月31日まで開催されている。早速、家族に声をかけたら、家内が一緒に鑑賞したいと言ってくれた。約3時間の東武東上線の旅となった。

 全部で17点の水彩画作品が展示されていた。非常に味わい深い作品が多かった。一般的には、水彩画は、ソフトなタッチの筆使いの作品が多い。彼の作品は、どれも、油絵のように濃い色使いの出来上がりである。中でも特に、「ススキ野原」「軽井沢」「平家の里」には感動させられた。「ススキ野原」は、秋の爽やかで少し冷たい風のざわめきを感じさせてくれる。「軽井沢」は、森林浴の心地よさが疑似体験できるほど時空を超えた趣を感じさせる。「平家の里」は、雪深い里山の人々の辛抱強さみたいなものを思い出させる。

 子供の頃、小島兆二君とは、お互いに、展覧会に出品して、賞を競う間柄だったことを思い出した。これが、絵を描きたくなるきっかけになるかもしれない。台風が上陸しているにもかかわらず、小島兆二展を見た後、シャガール展(日本橋高島屋にて開催)まではしごしてしまった。シャガール展は、作品数が多く、非常に得をした気分となった。来月は、フェルメール展も予定されており、さびれた感性を甦らせてくれそうだ。

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2010年10月19日

坂本龍馬は江戸時代からTRIZを使っていた?

 TRIZと坂本龍馬は何の関係があるのだと言う人がいるかもしれません。実は、大いに関係があるのです。龍馬は、海援隊の時代、いろは丸を率い、岡山県の鞆の浦沖で、海難事故を起こしてしまいました。紀州藩の蒸気船と衝突してしまい、海援隊のいろは丸は沈没させられてしまったのです。

 鞆の浦にて、紀州藩との第一回の海難審判の打ち合わせが始まったのです。もちろん、徳川御三家の紀州藩と脱藩浪士の海援隊では勝負になりません。このままいけば泣き寝入りしかないと、誰もが思っていました。ここで、龍馬が、TRIZの考え方を使って、みごと解決したのです。

 ところで、TRIZから、どのようなヒントが得られるのでしょうか。40の発明原理では、逆転の発想原理、仲介原理、機械的振動原理、多次元移行原理などで、容易に解決策の浮かぶヒントをもらえます。また、、究極の理想解(あるべき姿)を追求してもよいし、物理的矛盾や9画面法の解決策の一つである、「上位概念に移行する」も有効のようです。

 具体的解決策は、まず、長崎の色街で、海難事故は紀州藩が原因だというような流行歌を煽ったのです(現代風に言えば、マスコミを使って検察が風を吹かせたというところでしょうか。TRIZでは、機械的振動原理により、民衆を刺激させると考える)。次に、紀州藩の勘定奉行が、審判は、長崎奉行にやってもらおうと提案したのですが、龍馬は、英国人に万国航法で審判させたのです(TRIZでは、多次元移行原理または上位概念に移行するをヒントに、日本の審判ではなくグローバルスタンダードを活用すると考える)。その結果、実質4万両ほどの損害を8万両以上まで吊り上げて勝ち取ったのです。

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